小学生の勉強

小学生の予習は意味ある?現役教師が教室で見た「家でやってる子」の正体【低学年こそ効く理由】

「家で予習させた方がいいんでしょうか」——保護者の方からよく聞かれます。

結論から言うと、低学年のうちは、やった方がいいと私は思っています。ただし理由は、たぶん多くの方が想像するものとは違います。

15年間、小学校の教室で子どもを見てきました。家で先に学んでいる子は、本当にすぐ分かります。でも、その子たちの本当のアドバンテージは「理解が早いこと」ではありませんでした。

教室で「家でやってる子」は、わりとすぐ分かる

塾、学研、タブレット学習、通信教育——どれであっても、家で先に学んできている子は、授業中の反応で分かります。

一番分かりやすいのは理解の速さです。こちらが説明し始めた時点で、もう着地点が見えている。手の挙がり方が早い。

ただこれは、よく考えれば当たり前の話です。家で一度学んで、もう一度学校で学んでいるわけですから。同じ内容を2回通っている子と、初めて聞く子を比べれば、そりゃ差は出ます。

だから私は、この「理解が早い」という部分を、そこまで本質だとは思っていません。

低学年の予習が効くのは、「できる自分」を作るから

ではどこが大きいのか。ここが、私が教室で一番強く感じている部分です。

小学校低学年の時期は、「わかっているか・理解できているか」よりも、「学校でしっかり点が取れている自分」を本人が認識できることのほうに意味がある——そう感じています。

家で先に学んできた子の頭のなかでは、たぶんこういうことが起きています。

  • 「うんうん、わかる」
  • 「先生の言ってること、知ってる」
  • 「テストで点が取れた」
  • 「みんなよりできてるんだ、自分」

こう思えること。そしてそんな自分を客観的に見られることにこそ、意味がある気がします。

低学年の「できる・できない」は、正直なところ、学力そのものの差というより経験量の差です。でも子ども本人はそんなふうには考えません。「自分はできる側だ」と思うか、「自分はできない側だ」と思うか。その自己認識だけが残ります。

ここは、教師として本当に大きいと感じている部分です。低学年で「自分はできる」という感覚を持てた子は、高学年で難しい内容に入っても、粘ります。逆に低学年のうちに「自分は算数が苦手」と決めてしまった子は、まだ何も難しくなっていない段階で手を止めるようになる。学力の差より先に、この自己イメージの差がついていくように見えます。

「予習は意味がない」と言われることがあるのは、なぜか

一方で、「予習させると授業を聞かなくなる」「先取りは意味がない」という意見もあります。これも、当たっているケースがあります。

① 答えだけ知って満足してしまう子

一番もったいないパターンです。「もう知ってる」で止まってしまい、なぜそうなるのかの部分を通過してしまう。計算のやり方だけ覚えて、意味を考えないまま進む子がこうなりがちです。

② 学校の授業を「知ってる話」として聞き流す子

知っている内容の授業は、たしかに退屈です。ただ、ここで聞き流す癖がつくと、予習していない単元に入ったときに一番困る。低学年のうちは予習の効果でカバーできますが、学年が上がって内容が増えると追いつかなくなります。

③ 親が先に、教えすぎている場合

これは家庭の熱意が裏目に出るケースです。親が解き方まで教え込むと、子どもは「教えてもらえば分かる」状態になります。自分で考える前に答えが来る環境に慣れると、学校で「まず自分でやってみよう」と言われた瞬間に止まります。

つまり予習が効くかどうかは、内容を先に知ることではなく、学校の授業で「わかる」という実感を持てる形になっているかで決まります。

教室で見ていて、続いている子の共通点

家庭学習が回っている子には、やり方の面でも共通点があります。

① つまずいた単元を「その日のうちに」見直している

これが一番効きます。算数は積み上げの教科なので、分からないまま次に行くと、2週間後に必ず効いてきます。その日のうちに戻れる仕組みがある家庭は強い。

② 「宿題の前」に家庭学習を置いている

順番の話です。宿題のあとに回すと、疲れていてできません。宿題の前に10〜15分だけ置いている家庭は、続いています。

③ 親が隣に座らなくても回る形になっている

低学年のうちは親の声がけは必要です。ただ、最初から最後まで親が付き添う形にしてしまうと、親が忙しい週に止まります。声がけだけで動き出せる形にできているかどうかが、半年後の差になります。

家で予習する方法は、だいたい3つ

教室から見た、それぞれの向き不向きです。

方法良い点気をつける点
塾・学研など通う形人がつくので止まらない/強制力がある費用が大きい/低学年から通塾は負担が重い場合も
紙の通信教育鉛筆を持つ習慣がつく/低学年と相性が良い親が丸つけをする前提のものが多い
動画・タブレット型つまずいた単元に戻りやすい/費用が軽い「見てるだけ」になる子がいる/自走できる形にする工夫が必要

どれが正解ということはありません。家庭が続けられる形がいちばん強い、というのが15年見てきた実感です。止まらない方法が最善です。

低学年の「できる自分」を作るなら、コストの軽い形から

最初から費用の大きい形に入ると、合わなかったときに引き返しにくくなります。低学年のうちは軽く始めて、続くかどうかを見るのが現実的です。

鉛筆を持つ習慣から作るなら

まだ机に向かう習慣がない場合、動画から入るとほぼ「見てるだけ」になります。この段階では紙のほうが確実です。

授業の予習・つまずき直しをしたいなら

学校の授業に沿って先に見ておく、分からなかった単元に戻る——という使い方なら、動画型が向いています。学年をまたいで戻れるのは、紙の教材にはない強みです。

それぞれの中身や料金、我が家で実際に使ってみてどうだったかは、こちらに詳しく書いています。

まとめ:低学年の予習は、学力より先に自己イメージを作る

  • 家で先に学んでいる子は、授業中の反応ですぐ分かる
  • ただし「理解が早い」のは2回目だからで、それ自体は本質ではない
  • 大きいのは「自分はできる側だ」と本人が認識できること
  • 低学年の差は学力差より経験量の差。でも子どもには自己イメージだけが残る
  • 効かないのは、答えだけ知って満足する形/親が教えすぎる形
  • 方法は問わない。家庭が止まらずに続けられる形がいちばん強い

低学年のうちに「自分はできる」と思えた子は、あとで内容が難しくなっても粘れます。予習の価値は、その一点にあると思っています。

5社をまとめて比べたい方はこちら:小学生の通信教育ランキング5社|現役教師が「続くかどうか」で順位をつけました

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